「スポーツ(運動)と脳科学」第18回 -養老孟司先生の講演動画-


解剖学者の養老孟司先生が講演された「脳から見た芸術」という87分の動画があります。企画展「メタファーとしての医学 芸術と医学展」で、20年以上前(2002/2/16)に講演された動画ですが、当時65歳位の養老先生は、勿論、頭脳明晰、声質が良く、リズム感は抜群、聴いていて何とも心地良いのです。

年に何回か、寝床で養老節を聴きたくなり、スマホを手にします。養老先生の話は広くて深く、上手く説明できないのですが、何か自分も「表現してみたい」衝動にかられます。要するに、話が「面白い」のです。「腹落ち」しまくりです。                                
 「面白い」とか「腹落ちする」とかは脳科学的にはどういうことなのでしょうか。どんな脳内物質のどんな作用でしょうか。 

「面白い」と感じるときや「腹落ちする」瞬間に重要なのがドーパミンだそうです。ドーパミンは、何か新しいことを学んだり、予想外の良い結果が得られた時に分泌され、「面白い」と感じる感覚や「腹落ちする」瞬間に関与している様です。                                
他に神経伝達物質セロトニンも感情の調節に関与し、心地良さや満足感を感じる時に分泌され、「面白い」という感覚や「腹落ちする」心境に影響を与えるのかも知れません。
                                
養老先生は深い洞察を加えながら本音・本心を語るから、話が実に面白いのです。また養老先生は、講演しながら、白板に概念図や文字を書き、また演台周辺を歩き回ります。

先生の「文武両道」入力と出力は本来一体物、という持論を現場で実践されます。声帯を震わせながら、手足体を動かしリズムを取るのは、大事な脳からの出力指示かも知れません。

本ブログ第2回に養老孟司先生の「入出力装置としての人間の脳」について話題にしましたが、脳からの出力は、話す、書く、行動する、です。養老先生の著作や講演録と同様に、MLB「大谷選手の真摯なプレー」や絵画「モナリザの微笑」も高度なレベルの「出力」作品です。

                               

 良質の「出力」作品は、本人の脳内にフィードバックされ、次の良質な出力作品に繋がります。また真摯なプレー(大谷選手)や優れた芸術作品(モナリザの微笑)を見た第三者は感動し、それがその人の良質な行動に繋がる好循環となります。面白いとか、感動したとかは良いこと尽くめです。                                
                                
最後に、養老孟司先生の講演内容を少し膨らませ、自分なりの方向性を探ってみました。                                

1.入力、できれば良質の入力から、自分なりの感動を得て、自分なりの出力(運動、言語表現、作品、「心豊かな道を究む」心構え)を得ることができる。

2.今の時代に忘れられた?「型」を再評価し、守・破・離の段階を経て究める
「基本」を重視した上で「本質」は何かを見極める。そこからの展開を自ら「考え」、実際に「行動」に移す。 
   
3.スポーツ観戦と同様に、音楽・絵画など芸術鑑賞も良い。天然の芸術作品「立山連峰」の自然も素晴らしい! 何より、「美意識」を大切にしたいと思います。