「スポーツ(運動)と脳科学」第17回-「アウトプットの時代」- 

    今の世は、「アウトプットの時代」という表現がピッタリです。自分の思考・志向・嗜好がその方向に向いているから、余計そう思うのかも知れません。                                
                                    
本ブログの主題にある脳科学という言葉は、Wikipediaでは「ヒトを含む動物の脳と、それが生み出す機能について研究する学問分野」、と定義されています。また養老孟司先生は著書「考えるヒト」の中で、人間の脳は、五感からの入力に対し、化学物質の放出とそれに続く筋収縮運動が出力、と解説されています。私個人は「情報の入出力装置としての脳」に興味があります。
                                    
 少し調べてみますと、出力の中身として、①脳内の内部出力(思う・考える・感じるなど)と、②脳からの外部出力(話す・書く・行動する)に分けられるそうです。平たく言えば、脳内出力は「思考」や「感情」だが、脳外出力は、具体的に話す・書く・行動するなどの「表現」、という理解をしています。                                

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そこで、書名に「アウトプット」という言葉を付した本を何冊か読み、アウトプットについて少し掘り下げてみました。
                                    
樺沢紫苑「学びを結果に変えるアウトプット大全」(2018/8/3、サンクチュアリ出版) 
  「読む・聞くがインプットで、話す・書く・行動するがアウトプット。最大の違いはアウトプットは運動であるということ。」(22頁)、「インプットとアウトプットの黄金比は3対7。」(29頁)

中島聡「結局、人生はアウトプットで決まる」(2018/9/30、実務教育出版)  「何か自分が夢中になれるものを一つでも良いから見つけて、それに関して、ブログやYouTubeを使って、ひたすら発信し続けること。」(301頁)

斉藤孝「アウトプットする力」(2020/6/3、ダイヤモンド社
「成果を出している人はアウトプット優先にシフト、インプット1:アウトプット9の割合を目指す。」(5頁)、「重要なのはアウトプットの場をつくること。それがそのまま自分のアイデンティティになる。」(205頁)

内田和成「アウトプット思考」(2023/7/7、PHP研究所)   
「インプットでは差がつかない時代、だからこそアウトプットで差をつけよ!」(11頁~)
                                    
他に、「知的生産術」関連の本にも「アウトプット」の重要性が記されています。
前田裕二「メモの魔力」(2018/12/25、幻冬舎
「(メモの習慣化→抽象化の習慣化→アイデア創出の習慣化、に加えて)大事な考え方は、脳内のインプットとアウトプットの比率。アウトプット側に寄ったときに、アイデアが出る。シャワーのときや寝る前にアイデアを思いつくのは、脳内の比率をアウトプット側に寄せているから。」(188~189頁)

森博嗣「勉強の価値」(2020/11/25、幻冬舎
「知識をインプットするのは、それをアウトプットするためだ。アウトプットして初めて、その知識が活きる。活かしたいから勉強をするのである。」(71頁)          
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上記6冊の著作は、皆、「アウトプット」の重要性を取り上げています。従来、学校教育の場を中心に「インプット優先」という雰囲気の中で育ってきた我々世代にとって、昨今の「アウトプット重視」という価値観に「斬新さ」を感じます。  
                                    
個人的には、毎日1万歩の有酸素運動後の「快」の感情+心身「健康管理」「脳」の活性化による「創造的なアウトプット」表現、(ブログ第15回記事)、という生活モデルを想定しています。                                
具体的には、書籍・文献・ネット記事などからのインプット外部情報に対し、自分の思考や感情と、場合により気付き・閃き・発想や創造性を加え、仕事と趣味的な文筆活動を行っています。創造的アウトプットは面白いし、楽しい時間です。
                                    
また昨今の生成AIの普及は社会に多大な影響を与えています。そんな世相を反映してか「知的生産技術」について注目が集まっています。本格的AI時代の到来ですが、個人的には、既存・既知情報の分析ツールとして生成AIを上手く活用すれば良いのではと考えています。自分の基軸を持っていれば、生成AIを恐れる必要はありません。寧ろ、自分流の創造的アウトプットを展開する絶好の機会とさえ思います。                                
                                    
この機会に、「創造的アウトプット」観について、少し自分の頭の中を整理してみました。                                
[1]自己表現として自分の脳(=「個」)で生まれる思考や感情が出発点です。場合により気付き・閃き・新たな発想を加え、生まれてくる「創造的アウトプット」はプロセス自体が面白いし、楽しいものです。テーマ選定、②独自視点、③数々の試行錯誤意思決定、④自分なりに導いた仮説、⑤感性・感動・感情を盛り込んだ本音、などは決してAI(人工知能)では表現できません。自分の論理だけでなく、「感・観・勘」を大事にしています。

 

[2]五感を通して外部情報から得られる「インプット」と「アウトプット」の反復活動の軸です。また良質のアウトプットは良質のインプットを呼び込みます。この循環プロセス自己成長に繋がります。

 

[3]創造的アウトプットの基盤としては、3つの「ソウゾウ力」が大事だと思っています。 

1)創造力(前回ブログ第16回「脳科学から見た創造性・アイデアの出し方」5項目)

2)想像力(未来志向、過去・現在・未来の時間軸を考慮) 
3)騒騒力(造語ですが、発信力/コミュニケーション力/事業センスの3項目)                                
                                    
 毎日の生活習慣やリズム感を大事にしながら、自然の摂理や身体・脳の仕組みを活かした有酸素運動を軸に、また知的生産術を駆使して創造的アウトプットの質を高め、自己成長をと思っています。