「スポーツ(運動)と脳科学」第83回ーリズム感と脳内物質セロトニンについてー

リズム運動は脳内物質セロトニンの活性化をもたらすという脳科学の知見があります(東大医学部卒有田秀穂医師、樺沢紫苑精神科医他)。そもそも自然界は、太陽系の地球の自転・公転により、年間の四季や昼夜24時間の繰り返しなど一定のリズムで成り立っています。川のせせらぎや野鳥のさえずりも心地良いリズムを奏でます。その地球に住む人間も肺呼吸・心臓の拍動・血液循環流もリズムを刻んで生命を維持し、身体の一部である脳もリズム感を好むようです。

 

リズム運動とセロトニン関連の主な参考文献です。

有田秀穂著「脳からストレスを消す技術セロトニンと涙が人生を変える)(2012/2/20、サンマーク出版)、「セロトニン研究」の第一人者が書いた関連情報満載の本

セロトニン神経を活性化させるものは主に二つあります。一つは「太陽の光」、もう一つは「リズム運動」です(132頁)。

 

樺沢紫苑著「脳を最適化すれば能力は2倍になる」(2016/12/20、文嚮社)

セロトニン仕事術(171~222頁)の中に、セロトニンを活性化する方法して、①日光を浴びる、②リズム運動、③咀嚼、が挙げられており、特にお勧めは朝のウォーキングだそうです。

 

青砥瑞人著「BRAIN DRIVEN」(2020/9/25、ディスカバー・トゥエンティワン)

モチベーションに重要なのは健康・睡眠・生活リズムで、生活リズムの面でモチベーションに強く影響を与える可能性が高いのは脳内の神経伝達物質セロトニンである(36~38頁)。セロトニンは単調リズム運動に反応して合成される(229~231頁)

 

ご参考までに、池田内科病院の池田医師が、開業医のお立場で書かれたセロトニン足りてますか?」というブログ記事(2014/7/11)の一部を要約させていただきます。

1.セロトニン心の平静を保って心のバランスをとることに関わる脳内物質の一つです。分泌されたら速やかに代謝されるというサイクルを繰り返し脳内に存在します。

2.脳内のバランサーとして働く心を穏やかにする物質です。

1)脳内のノルアドレナリンドーパミンの暴走を妨げる働きがあります。

2)セロトニンを分泌しておくことでストレスの耐性があがり、ノルアドレナリンドーパミンの暴走を未然に防ぎます。

3)脳内にセロトニンが十分にあると、脳は興奮もしないし、ぼんやりもしないで、クールな状態を保ちます。

4.昼間の交感神経優位な状態への切り替えをスムースに助ける働きがあります。痛みに対する感受性を低下させる働きもあるようです。抗重力筋に作用して姿勢を改善して、顔の筋肉を引き締める働きもあります。

5.セロトニンを脳内で増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

1)セロトニン神経の出発点になる脳幹の縫線核の近くには、歩行、呼吸、咀嚼に関わる中枢があります。

2)歩行、呼吸、咀嚼といったリズム運動をすることでセロトニンの分泌が増えます。

3)リズム運動で、開始5分後からセロトニンの分泌が始まり、10~15分でピークに達し、20分を過ぎる頃から分泌は下降していきます。

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私自身、リズム運動は数多く体験しています。子供の頃のラジオ体操に始まり、野球・バスケットボール・サッカー・テニス等の球技もある意味リズム運動ですし、大自然に足を踏み入れての山登り・スキーも当て嵌まりますし、現在行なっている毎日1万歩のウォーキングはリズム運動の典型です。セロトニン分泌の効果が得られているのではと思います。

 

音楽の演奏や歌唱はリズム感こそが命ですし、家族や友人との会話もリズム感が大事です。実業家の堀江貴文さんは、「仕事の速さは速度でなくリズムで決まる」と明言されてます。全く同感です。

 

リズム感は自然界の必然です。大事にすべき、活用すべきと思います。日常生活では、太陽の光と自然に恵まれた環境で、毎日1万歩の有酸素運動を生活リズムを軸にしています。リズム感は心地良い「心・身・脳」の活性化を促してくれます。有酸素運動と脳内物質「セロトニン」に感謝の毎日です。