大相撲初場所は横綱・照ノ富士が優勝決定戦で関脇・琴ノ若を破り優勝しました。一人横綱の重責を果たした照ノ富士の優勝を称えるとともに、琴ノ若は13勝2敗の成績で準優勝、大関昇進が確実ということで大変喜ばしいことです。
今回は力士の相撲人生を「脳科学」視点を加えて考察してみたいと思います。相撲部屋入門は15歳・18歳・22歳とマチマチですが、相撲界は実力の世界、出世は本人の資質と努力次第です。年6場所取り組みの成績だけで番付が決まります。
そこで力士は「心・技・体」を高めるべく親方の指導の下、稽古に励みます。体重を増やしつつ健康体で生活するにはバランスの取れた食事と適度の睡眠・休息が大事です。「健康な体」で「技術・技能」を磨き、「心(精神力)」を強くするには、力士本人の「相撲に対する取り組み姿勢」が一番重要なのでしょうね。
力士個人個人の「相撲に対する取り組み姿勢」=「意識付け」を出発点としますと、「意識付け」→「試行錯誤」→「稽古」→相撲の「型」→「習慣」→「場所成績1」→「意識付け」→「試行錯誤」→「稽古」→相撲の「型」→「習慣」→「場所成績2」、以下、繰り返しになります。
親方や兄弟子の指導があるとはいえ、結局は力士本人の努力次第です。個人的には、先ずは健康な体であるという前提で、自然体/平常心+「心・技・体」+知性/哲学→自己表現(本場所)→自己実現(番付)、というフローが基本になると考えます。
ここで、力士個人の自己管理により、①心身健康で自然体/平常心を保ちつつ、②心(意欲・動機付け・向上心)、③技(技術・技能、自分の相撲の型、攻め/守りバランスの良さ)、④体(健康体・怪我対策・基礎体力)、⑤知性/哲学(活躍する力士は相応の地頭力/知恵/賢さ+哲学を持っています)
大関昇進が内定した琴ノ若の場合、祖父「横綱琴桜」と父「先代関脇琴ノ若」の血を受け継いでいて、力士としての素質は申し分なく、自然体/平常心+「心・技・体」充実+知性/哲学→、という基本フローは理想に近い高いレベルです。特に力士として恵まれた体格に加え、今場所で「技能賞」を獲得した様に、③技(技術・技能、相撲の型、攻守のバランス)は申し分ありません。
以上、日本の伝統文化継承の一翼を担う相撲界の力士について考えてみました。場所中のインタビューで琴ノ若が「頭で考えるよりも先に体が動いている」とコメントしていました。心技体の充実と何よりも十分な稽古を通じて鍛えた型や習慣により、初場所の好成績を手にすることができました。
目的意識を持って試行錯誤と研鑽を通じ基本型と習慣により好結果を得るということは、相撲界に限らず広く人間社会全般に通用することかも知れません。そんな興味を持ちながら、大相撲ファンの一人として来場所の新大関琴ノ若の活躍を楽しみにしています。大相撲はいよいよ「琴の若」時代の到来では、と思います。