「スポーツ(運動)と脳科学」第107回ーパリ五輪アスリートに見る人間模様(2)柔道・阿部一二三ー

パリ五輪柔道男子66キロ級金メダルの阿部一二三はやはり強かった。安定感のある強さだった。積極的な「攻め」の姿勢と細心の注意を払い相手の攻撃を防御する「守り」バランスが絶妙だった。阿部一二三の柔道には「スピード」「強さ」「集中力」があった。

男子66キロ級には日本国内に強敵丸山城志郎がいた。何回も何回もの直接対決でギリギリの勝負で鍛えられた阿倍の強さは本物だった。まさに心・技・体の充実振りと「今この一番」の勝負への執念を感じた。

 

妹・阿部詩の敗戦を兄としてしっかり受け止めた上で、「日本柔道」健在を実力で示した。どんな状況・局面でも、自然体・平常心で勝負に立ち向かえる、人格的にも素晴らしい選手だ。次の五輪で、野村氏に続く五輪三連覇を果たした上で、その先まで本人は考えているようだ。今の心・技・体の充実振りからは十分現実味のある話だ。

 

本ブログ第27回(2024/2/2)で「文武両道世界レベルの日本人アスリート」に12人の選手名を挙げた。次回は、この中に、阿部一二三選手を付け加えたいと思う。1.自然体/平常心、2.心・技・体、3.知性/哲学、の3つの要素を持ち、且つ、世界で活躍する日本人アスリートだ。

この12人の中の一人、「走る哲学者」為末大氏の著書「熟達論 人はいつまでも学び、成長できる」(2023/7/15、新潮社)の序章「熟達の道を歩むとは」の中から引用する。

熟達者の共通点
「基本」を持つ、②何かに深く「没頭」した時期がある、③「感覚」を大事にしている、④「気付き」が早い、⑤「自然」であろうとしている。

           

本ブログの「世界レベルのアスリートから何を学び、自分の行動にどうつなげるか」という問いのに対する答えが、 阿部一二三の柔道を見ての、「熟達」の道を歩む  彼の「基本」「没頭」「感覚」「気付き」「自然」の素晴らしさ、を知った上で、自分なりの「スタイル」で、自分の課題・テーマに「真剣に取り組む」ことだ。

阿部一二三「柔道」が円熟味を増し、より一層の飛躍を期待したい。