「スポーツ(運動)と脳科学」第63回ー尊富士関「優勝」おめでとうございますー

尊富士は凄いな!

前日右足首を捻挫負傷した尊富士が怪我を押して出場した大相撲春場所千秋楽の土俵で、豪ノ山相手に攻め切り初優勝を決めた。世紀の大一番に、思わず涙がこぼれた。

 

「幕尻」東前頭17枚目の尊富士(24歳)の記録だが、新入幕力士の優勝は110年ぶり初土俵から所要10場所での優勝は最速記録だそうだ。

 

NHKテレビ解説の師匠・伊勢ヶ濱親方が仰ってた。「 靭帯伸びてるから相撲とれる状態ではない。でも本人から「やりたい」と言ってきた。しばらく考えたが、歴史的な取り組みを、止められないでしょう、止めた方も止められた方も後悔しますよ。」 

伊勢ケ浜親方も万感の思いだっただろう。親方も昨夜はほとんど眠れなかったのではないか。顔がだいぶ腫れぼったい様子で、必死に涙をこらえているようにも見えた。

伊勢ケ浜部屋は稽古が厳しいと噂され、その厳しさと規律の良さが功を奏し、良い関取が育っている。幕内に「富士」がつく力士が五人(来場所は六人)。流石、伊勢ヶ濱親方、厳しい指導で有名だが人情味ある好きな親方だ。横綱照ノ富士の後押しの言葉もあったようだ。

 

相撲って良いな!

「相撲」は日本の伝統文化であり、国技である。
年6場所(東京3・大阪・名古屋・福岡)開催され、地方巡業もある。郷土の代表・地方出身力士の純朴さが何とも言えない。古き良き昭和の時代を思い出す。

相撲は完全な個人競技で道具は一切使わず、文字通り「裸一貫」だ。真剣勝負だから稽古での鍛錬が基礎となる。四股・鉄砲・当たり稽古は良く聞く話だ。

 

個人的には、「地元」朝乃山と、いかにも相撲取りらしい「男前の力士」関脇・若元春のファンだが、今場所初めて知った尊富士の速攻相撲が大好きになった。今でも50メートルを6秒台で走る俊足を生かし、立ち合いの出足とその後の足の運びが素晴らしい。


今場所の尊富士の活躍には感動した。千秋楽の相撲は怪我で絶体絶命の状況の中、極限状態で尊富士はそれでも前に出た。地元津軽弁で「よぐ、けっぱった」だ。大阪の土俵は盛り上がり、大歓声が飛び交った。まるで野武士のような風貌だ。何より野性味がある。今後に期待したい。