「スポーツ(運動)と脳科学」第28回-イラン戦サッカー完敗の日本に一筋の光明ー

3日のアジア杯準々決勝で、日本1-2イランに敗れた。追加タイムにPKで惜敗のように見えるが、試合内容的には完敗だった。森保一監督の采配云々の声もあるが・・・、それよりも先ず、何人かの選手から鋭い問題提起があったことを評価したい。

 

唯一の得点を挙げたMF守田が、「チームとしてどういう動かし方をして、どこを狙っていくかはもっと明確にしないといけない。それ(課題)があるのに結局、個人のところで負けましたというのは、僕は逃げだと思う」。こうなったら誰がこうする、という細部が詰められていないという現状を憂う。

CB富安も「難しい状況に陥ったときに何ができるか。いいときは誰でも乗っていける。良くないときにどれだけのことができるか。何か変えようととする選手今耐えるぞと声をかける選手がもっといないと、そりゃ勝てない。」

 

この2選手の話を聞いて、逆に、これからの日本サッカーへの期待感が強まった。一流の選手は、ある時期に味わった困難・屈辱をバネに試練を乗り越え、器を大きくしてその後の飛躍につなげている。何苦楚魂という言葉がある。プロ野球で活躍された中西太さんの座右の銘、これは伝説の三原脩名監督から受け継いだ言葉、「人生何事も苦しい時が自分の基礎を作るのだ」、という意味だ。

 

イラン戦の戦局判断について森保監督は、「耐えていって、できるだけ前線の交代カードを切りたかった。守備で受けるだけではなく、攻撃で何とかして推進力を上げていきたいと」。だが、サッカーは守備(防御)あっての攻撃だ。前半の板倉のプレーを見て「心技体」のバランスが崩れていたのは明らかだったし(足を踏まれて負傷していた?)、攻撃陣の交代カードが南野と浅野だったのには二度ビックリだ。それ以前に日本代表GKの人選には言葉が出ないのだが・・・。

 

今回のアジア杯ベスト8敗退が「災い転じて福となす」様、日本代表メンバーの「何苦楚魂」と、日本サッカー協会・宮本恒靖新会長の指導力とセンスに期待したい。