「スポーツ(運動)と脳科学」第29回-「有酸素運動と読書と自己表現」を日常の生活習慣にしてみましたー

昨年から読書量が増え(月10冊ペース)、同時に読書日記を書くようになりました。一橋大楠木建特任教授の作品「戦略読書日記」という本を読んだことがきっかけです。この本を読んで、「こんなに面白い文章が書けるんだ」、「こんなに素晴らしい感動が得られるんだ」、という思いが自分の生活習慣を変えました。「戦略読書日記」の解説を書かれた出口治明氏は「これは書評という体裁をとった格闘技である」と評しています。「対象本を読むより楠木建の書評の方が面白い」という評判もあるほどです。

楠木建先生は、自称「運動オンチ」の反面、「歌って踊れる経営学者」とも言っておられます。趣味はバンド演奏で、美声を活かしてリードボーカルとして活動されています。楠木先生の大学での講義・各所での講演会・数多の著作を通じてのご活躍は、まさに現代の「表現の達人」です。経営学「ストーリーとしての競争戦略」というロングセラーの著者として有名な先生ですが、専門書以外に年間で300冊の本を読まれるそうです。

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今回は、私自身の生活習慣の中での「読書」の位置付けについて考えてみました。文章にすると長く複雑になりますので、例によって「概念図」で示します。

先ず、行動の出発点は「面白い・楽しい・良いね!」という興味・好奇心です。毎日1万歩の有酸素運動・読書INPUT・読書日記OUTPUT・ブログ記事作成には「快」の感情がセットされています。

 

俯瞰して概念図を眺めてみますと、興味深い「気付き」が3点あります。

1.人間の思考・感情・行動には、何らかの「目的意識」がある。
2.人間は思考・行動の繰り返し=往復運動で「試行錯誤」し、バランスを取る。
3.人間の行動は「好循環サイクル」により「自己成長」を目指す。

つまり、人間は目的意識と試行錯誤を行動原理とし、より良い生活習慣に向け好循環スパイラルしながら自己成長する、と考えれば合理的です。

 

楠木建先生の「書評関連の読書日記」についての本は、私が知る限り4冊あります。

「戦略読書日記」(2019/4/10、筑摩書房)、503頁、1,200円(税別)、22冊の本の解説、2013年7月刊行本を文庫化

「室内生活スローで過剰な読書論」(2023/2/1、日経BP)、557頁、1,200円(税別)、115冊の本の解説+読書論5編、2019/10月同名書を文庫化

「経営読書記録 表」(2023/12/14、日経BP)、384頁、1,900円(税別)、202冊の本の解説

もう1冊の「経営読書記録 裏」(2023/12/14、日経BP)は来週入手予定です。

著作の中で、「人間の本性と人間社会の本質は今も昔もこれからも変わらない。変わらない本性や本質と正面から向き合うからこそ、人間の深い洞察が導かれる。」(室内生活45頁)との記述は、楠木建の読書に対する取り組み姿勢を感じ取ることができます。

私自身の読書への興味は、その本の著者の「哲学」というか、人間の本能・本性・本質に根ざした「本音」や「生き様」を知りたいという面があり、楠木建先生はその点を書評で浮き彫りにしてくれるから、楠木書は面白いのだと思います。「経営学者」楠木建先生の「文学者」「哲学者」としてのセンスも加わり、人間洞察が秀逸だということでしょうか。

私の場合、大自然の中での毎日1万歩の有酸素運動が、野生とか野性味とかを呼び起こしてくれる気がしています。自分が持っている知性と感性に野性を加えて、これらを総動員して良書に接すれば、その本の著者の「俺はこれが言いたいんだ!」を全身で感じ取れる気がします。それは私自身の読書から得る良質のINPUTが私のOUTPUT作品の品質向上につながる、という期待があります。

楠木先生の読書論を参考に、自分流の「読書」哲学を持って、有酸素運動→読書INPUT→創造的OUTPUTの好循環サイクルにより、新たな発見と「人間研究」展開を目論んでいます。