NLPE南山紘輝代表の「脳科学から見た創造性・アイデアの出し方」という45分のYouTube動画を見ました。寝床で朝早くにスマホで動画を見て飛び起きました。私自身の懸案テーマについて興味深く解説した内容でした。2022/12/31作成の動画でしたが、丁度1年後の’23年大晦日にその作品に出会い、運命を感じました。
私自身、毎日1万歩の有酸素運動で、「快」の感情+心身「健康」+「脳」活性化を実感してきましたが、アイデア発想・閃きや創造的アウトプットは、どのようなプロセスを経て創出されるのか、長い間考えてきました。
創造性についての関連本では、野口悠紀雄一橋大名誉教授が、著書「超」創造法で「頭を素材で満たして歩くのが、アイデア創出の最も確実な方法」、と述べています。
また作家・森博嗣工学博士は、「勉強の価値」の中で「四六時中考えて、考えて、考え抜いたあと、リラックスする機会に発想する」、と記しています。
野口・森両先生の説明は、自分自身が体感している状況と一致していたのですが、真に納得するには、何か脳科学的な理論付けが必要と考えていました。
そんな背景もあり、南山代表の動画解説は「目から鱗」、成程感満載でした。以下、動画内容のポイントを整理しました。
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[1]創造性を発揮するには「根性論」で頑張って結果を出すのではなく、「脳の機能・仕組みに則ったプロセス」に意識を向ける必要がある。興味と好奇心がアイデア創出のきっかけとなる。創造性は、「面白い・楽しい・良いな!」という自分基準で良い。
[2]興味と好奇心があれば神経伝達物質が放出される。報酬・期待感がプロセスの中にあれば報酬系のドーパミンが放出され、モチベーションや集中力が増す。セロトニンは安全・安心と平常心を保ち、もっと知りたい・究めたいという気持ちになる。アセチルコリンは集中力をもたらす。
[3]意識に関わっている3つの神経ネットワークを上手く使えば、アイデアが生まれる。
①セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)・・・意識的思考、集中
一番集中して頑張って、意識的に何かを作り出そうと思考するが、意識の中の思考だけなので情報量・記憶の制限があり、誰でも思い付けるアイデアで、画期的ではなく創造的なものでない。
②デフォルトモード・ネットワーク(DMN)・・・ボーとして無意識に近い状態
アイデアを出すにはDMNを使うのがポイント。DMNを機能させる質問を投げ掛ければ、アイデアは自然と生まれる。無限の可能性の中から自然と、無意識から上がってきている思考が、今まで培ってきた知恵・記憶・体験の中にあるアイデアを生み出す。
③サリエンス・ネットワーク(SN)・・・ネットワークを切替える役割、「気付き」
自然に上がってくるDMNに気付いて集中する。「刺激」に反応する時はSNがCENにスイッチを切替え、ぼんやりしたり思索に耽ったりして「内部の問題に対処」する時は、SNがDMNにスィッチを切替える。
ボーとしている時DMNが出てくる。DMNはリラックス状態でアイデアが生まれやすい。DMNから上がってきた思考をSNがキャッチ(気付き)し、それをCENで言語化する。
「創造的戦略」は、このプロセスが一番大事で、体験しながら、感じながら、どうやったら上手くいくか、問い掛け続けることが全て。
私達の脳は誤差が嫌いなので、神経ネットワークに同じ質問を何回も何回も投げ掛ける。すると脳は「重要だ」と認識してるのにまだ回答が得られていないと、脳(DMN)は「あれ、おかしい、誤差を埋めないと」、と必死に探す。何回も問い続けDMNに探して貰う。
そしてボーとした時に、上がってくる思考をSNが取り上げる。このプロセスがアイデアを作る上での重要なポイント。
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次に、自分が理解した範囲で一部Modifyした概念図を示します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 文章が長くなりますので、以下、項目程度にとどめます。
[4]普段からアイデアを生み出せる「脳を鍛える」方法・習慣
1)アイデアが生まれる脳波とは?、ベータ波(13~50サイクル/秒)は集中時だが、アイデアが出てくるのは脳波が下がったとき=アルファ波(8~13サイクル)・シータ波(4~8サイクル)
2)発散性思考フレームワークと逆発想フレームワーク
3)呼吸法とYogaNidra
[5]他にも、イチロー選手の「自分がどう感じて、どう打てているのかを、言語化できた時に、超一流になれた」という言葉の他、アインシュタイン・ニュートン・ベートーベン・村上春樹氏など偉人の事例が紹介されています。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上が南山紘輝氏の動画の要点です。
最後に、今回のテーマに関連した「創造性開発」の参考本2冊をご紹介します。著者の青砥瑞人氏は、米国UCLAで神経科学を学んだ若手脳神経科学者です。
青砥瑞人著「BRAN DRIVEN」(2020/9/25、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、344頁、定価2,200円(税別)
第3章 CREATIVITY(クリエイティビティ、241~337頁)に、創造性を解き明かす脳内の3つのネットワークについて詳述されています。
「ボーとしている状態に創造性を発揮できるか否かは、どれだけ意図して集中的に思考や想像をし続けたかによって明暗を分ける。思考にどっぷり浸かった後のボーとした状態は、クリエイティビティにとっては非常に重要な時間となる。」
また、「単純作業を味方にする」例として、散歩・シャワー・歯磨き・皿洗いなどが挙げられています。
本書は、神経科学の視点から、創造性を解き明かす着眼点として、マクロ(脳部位)・ミクロ(細胞・分子レベル)・神経ネットワークについて100頁近くの解説があり、大変参考になります。
青砥瑞人著「脳が冴えわたる4つの集中」(2021/3/18、KADOKAWA)、288頁、1,500円(税別)
集中力を高める3つの神経伝達物質、ドーパミン(ワクワク)・βエンドルフィン(ウキウキ)・ノルアドレナリン(ドキドキ)、についても解説しています。
南山代表の動画と関連本4冊から、「創造性開発とアイデア創出法」の全体像が見えた気がします。脳神経科学における「創造性」や「モチベーション」研究の更なる進展を期待しつつ、私自身も毎日1万歩の有酸素運動によるDMN活性化を意識して、創造的アウトプットの質を高めていきたいと考えています。