「スポーツ(運動)と脳科学」第30回-「遊び心」と「学び」と「快」の感情

私の好きな本ベスト5の一つに、出口治明著「出口版学問のすすめという本があります。筆者が5人の「学びの達人」との対談を通して「学び」の楽しさと重要性について語った本です。出口治明さんは2008年にライフネット生命を起業し、2018年から2023年迄APU学長を務められ、多数の著書があります。

先生方の発言の一部をご紹介します(敬称略)。

出口治明:「教養は様々な知識*自分の頭で考える力です。」、「これから世界中で必要とされるグローバルな人材は、アップルでの創業者スティーブ・ジョブズのような人、知識と思考力と発想力が豊かな人です。」、と述べています。

池谷裕二(脳研究者):「やりたいことをやる習慣は、結局、色々なことを積極的に学ぶことでしか身につかない。」                                    

吉田直(宇宙物理学者)「ぼんやり考えるのも研究には大事。頭で考えるだけでなく、あらゆる可能性を考えて、手を動かして試してみるしかありません。余計だと思われることも、まずやってみようと考えるフットワークの軽さーそれが研究者に求められる資質の一つだと思います。」

生田幸士(医用ロボット研究者)「創造性は遊び心がすべて楽しまないと良いアイデアは出てこない。」                                    

加藤積一(幼稚園園長)「身体を使って実体験しないと、危機意識が育たない。」        

ヤマザキマリ(漫画家)「動いて、考えて、失敗した心身の経験が、何にも勝る勉強になる。」  

先生方の、学問や研究や創造性開発には「遊び心」「興味・関心・好奇心」「身体・動く・体験」「試行錯誤」、などが大事というコメントは、日頃の自分自身の実感と重なります。                                    

また出口先生は、ご自身の経験から「起業」の際の心構えとして、PURPOSE(目的)、PEER(仲間)、PASSION(情熱)、PLAY(遊び心)、という「4つのP」が必要と述べておられます。こうした心構えは学業仕事趣味に取り組むときも同じで、これらは人生というプロジェクトの一環だと説明されています。 

 

個人的にも、学問や研究の質的向上や創造性開発には、遊び心楽しむ気持ちが大事だと思います。 つまりは「快」の感情が前向きな行動の推進力になると考えています。     

先ず「知りたい」「学びたい」という知的好奇心や向学心があって、その上で「知ることは面白い」「わからないことが腹落ちすると気持ちが良い」「学ぶことは楽しい」という感覚が生まれれば、それは何事にも代えがたいことですね。

更に、人には思考や感情という脳内の出力に加え、脳の指令で、話す・書く・行動するという外部出力があります。「知的」好奇心に対して、「動的」好奇心とも言うべき推進力によって、具体的に 話す・書く・行動するという形での自己表現が素晴らしいアウトプット作品に繋がることが期待されます。 

 

 個々人の人生の経営者は自分自身ですから、「遊び心」と「学ぶ姿勢」と勿論そのプロセス(過程)を楽しみながら「快」の感情を大事にして、自調自考+自責自行で、自らの人生プロジェクトを推進していきたいと思います。