茂木健一郎著「意思決定が9割良くなる無意識の鍛え方」(2022/4/28、KA
DOKAWA)、頁数:191頁、定価:1,400円(税別)、という本を読んだのは1月中旬ですが、ブログ記事にするのに2カ月かかりました。 関連書も読んだり裏付けを取りながら読書記録を作成しました。
「無意識」は創造性/アイデアの宝庫では?、という目的意識で本書を読みました。「神経伝達物質」「神経ネットワーク」「脳波」「呼吸」「有酸素運動」との関係に興味がありました。本の前半は雑談的内容が多いのですが、後半(5~7章)に内容の盛り上がりがあります。参考文献が多いのでどの部分が自説なのかは明確ではありませんが、「僕は」で始まる文章は著者の持論です。私自身の気付き部分は、赤30・青14=計44箇所と多いです。図書館貸本ですが、茂木書をもう1回じっくり読んでみたい気がしてます。 以下、本の要約ですが、個人的な興味を優先しています。
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[はじめに]
4頁 人の行動の9割は無意識で行われる、直感や閃きも意識の外からやってくる。
第一章 私たちの生活にある「無意識」を解き明かす
18頁 人が1日に下す決断は3万5千回。人が意思決定するとき、脳内では様々な回路が働くが、意識的か無意識的かでも辿る回路は一緒。
22頁 精神科医のフロイトが無意識の存在を確立し、そのメカニズムを体系化。
第二章 世界的にも稀有な「日本的無意識とは」
48頁 異なる文化、経験、歴史、価値観がひしめく国際社会では、「言わなくてもわかるだろ」といったハイコンテクスト的理論は通用しない。非言語的コミュニケーションとも言えるハイコンテクスト文化こそが、実はこれからの日本の強みになるのではないか。言語化できるものは、近い将来にAIに追いつかれてしまう。言葉にできない曖昧さ、行間、空気感こそが、今のところはAIが勝機を見いだせないでいる”人間っぽさ”に他ならない。
第三章 押さえきれない感情はコントロールできる
79頁 感情のコントロールには、大脳新皮質、中でも、前頭前野の機能が極めて重要。怒りを制御できるか、できないかも、喜びや悲しみといった感受性の豊かさも、前頭前野の発達具合によるところが大きい。
第四章 現代社会に適応した人間関係へアップデートする
90頁 心理学者のアルフレッド・アドラーが「すべての悩みは対人関係に集約される」
第五章 個性という無意識を鍛える方法
124頁 養老孟司さん「個性っていうのは、無意識の中で生まれるものなんだよ。」
130頁 無意識へのアプローチとしてまず、「全体を柔らかく俯瞰する視点」だ。
134頁 「マインドフルネスとは何か?」、「今ここ」で起きていることに対して注意を向け、自分が抱いている感情、思考を判断せずに、冷静に観察している心の状態のことだ。その状態を最も実践しやすい手段として、①床や椅子に姿勢を正して座る。以②2~3分、自分の呼吸に集中する。瞑想。
脳内には「デフォルト・モード・ネットワーク」(DMN)という、少し変わった神経回路がある。すでに紹介した前頭前野や扁桃体といった、脳の各部位をつないで束ねる中心的な役割を果たしている。
通常、人の脳は、何か考え事をしている時にときに活発に活動するものだが、このDMNは、そうしたときには活動を潜め、無目的で何も考えていないときだけ活発化する特質がある。言わば脳がアイドリング状態のときに、活発に活動している神経回路だ。
このとき、脳内では、情報の整理をしたり、自分自身を振り返ったりしている。
143頁 「晴らしいアイデアは雑談から生まれる」 僕は雑談が大好きで、それに関する本も出したほどだ。雑談ほど気軽に実践できるクリエイティブな行為はないと思っている。こんな自由なやりとりは人間ならではのもので、AIにはマネしようと思ってもできない芸当だ。雑談は、言わば脳のマッサージである。素晴らしいアイデアは、会議室ではなく無駄話で生まれると言いう人もいるくらいだ。
第六章 「スピリチュアル」を科学的に考える
149頁 「外から来る五感、内から来る第六感」、超常現象、あるいは第六感などの言葉から連想される「目に見えない世界で起きること」の本質は、無意識と密接に関わっている。
五感と六感の大きな違いは、その情報が外部から来るものなのか、内部から来るなのか、という点である。外部からの情報を得て反応する五感と違い、第六感は、身体の内側からのシグナルをキャッチしている。
153頁 「第六感からわかる、身体の声を聞く重要性」 、つまり「脳ではなく身体が覚えている」という現象について、アントニオ・ダマシオは、身体の内部から発生するシグナルを「体性感覚」と呼んだ。内臓や血液の状態、筋骨格の空間的な位置情報、皮膚の表面感覚など、僕たちが意識しない所で、体性神経は膨大な量の情報を脳に伝えている。
154頁 ともすれば、人の意識や思考、それに伴う言動の起源は、すべて脳にあると錯覚してしまいがちである。しかし長い進化の歴史を鑑みれば、まず身体が形成され、その後、それをサポートするために進化したのが脳なのだ。
近年において、ダマシオの仮説は至るところで取り入れられ、その内容が実証されている。「第二の脳」と言われて注目が集まっている腸もその一つだろう。
ダマシオの研究では、「身体の声に耳を傾ける」ことの大切さを実感させられる。これは第六感とも直感とも言われるものだ。
159頁 「アイデアが降りてくる」は本当なのか
閃きは、脳内のビッグデータと前頭葉の掛け合わせによる、0.1秒の同時発火からもたらされる。僕たちが何かアイデアを欲しているとき、まずは前頭葉が「こんなもののが欲しい」というリクエストを出す。それを受けて、脳内のビッグ・データである側頭葉が、リクエストに一番近いものを、過去のアーカイブから引っ張り出してくる。これが閃きのメカニズムだ。
実際、ボーッとしているときやシャワーを浴びているとき。厳密に言うと、閃きは、一つの問題について集中して取り組んだ後のリラックスタイムに起きやすい。それは、集中しているときに処理された様々な情報が、点と点として結びつくことで、新しいアイデアが生まれる可能性が高まるからである。その結びつきに大きく寄与しているのが、DMNだ。
第七章 無意識力が高まる「習慣」のつくり方
164頁 やる気はいらない、必要なのは「習慣」だけ 無意識を耕すために実践できる、日々の習慣。まず初めに極めて大切なこと、「何かを続けよう」と思ったら、必要なのはやる気ではなく、「習慣」である。
僕の朝のルーティン、気分としてはフラット(無意識)である。
その無意識の行いが習慣化につながっていく。
三日坊主でも1,000回繰り返せば、立派な習慣である。
165頁 続けることが大切なのは、脳が変化を嫌うものだからだ。脳は、基本的に安定性を重視し、「いつも通り」をキープするようプログラム。「無意識を鍛えて、明日から変わろう!」と思っても、簡単に人は変われない。毎日の習慣で少しづつ脳に刺激を蓄積させていくことで、思考や意思決定は穏やかに、でも確実に変化していく。
167頁 「日常のルーティン化」は、「今、ここ」への集中力を高めるのに有効である。
167頁 朝のルーティン:朝のランニング(1時間)→シャワー→仕事
168頁 朝に限らず、行動をある程度ルーティン化することは、決断する機会を減らして脳の負担を軽減することに寄与し、脳科学的にもそのメリットが実証されている。
169頁 頭を空っぽにして歩く「歩行禅」 無の境地で歩く、ゆったりとした呼吸、何も考えずに歩く→DMNが活性化し、思わぬ閃き・気付き・アイデアが思い浮かぶ =有酸素運動が脳にいい影響を及ぼす
①前頭前野は有酸素運動によって鍛えられ、集中力や判断力が向上 ②習慣的な運動は、自律神経が安定する
171頁 落書きは、想像力や閃きを司る右脳を活性化させ、左脳に偏りがちな脳の働きを回復→記憶の定着、発想力や思考力の向上など
173頁 落書きは、リラックスしながら集中=クリエイティブを高めるのに理想的な脳の状態、女性TEDサニー・ブラウン「落書きとは、思考を促すために思いのままに描くこと」。
175頁 「食事瞑想」の一つ、一粒のレーズンをとことん味わい、食事の量→質にこだわる、気づきを通して自分の五感が研ぎ澄まされていくのを実感できる。
177頁 大切なのは、自分の身体の声に耳を傾けること。「食べる」という行為は極めて原始的な行為であるからこそ、僕たちの心と身体に深く関わっている。 「咀嚼」満足感、肥満・生活習慣病予防、血糖値コントロール、心も満たす
178頁 デジタル時代の今こそ読書が必須 集中力を養うためのツール読書を是非習慣化してほしい。集中力を要する。脳内では、背外測前頭前野という部位が活発に働く。
178頁 読書を通して五感の記憶が触発され、それらを言葉を通して整理することは、脳の最も高度な働きの一つである。更に、本を読むときは頭の中で何かしらのイメージをするが、その行為自体が、抽象的な思考力を高めるのに一役買っている。深い集中力の中で、言語とイメージの両面から情報を組み立てる脳の神経活動が、知性のスペクトラムを形成するのだ。
180頁 本で知識を蓄えておくことは、本当の意味で知性を高めることだ。 本当の意味での知性とは、こうした教養の幅広さを言うのではないか。教養を蓄えるということは個性を磨くことでもある。
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著者の茂木健一郎先生は、多くの著書の他、数多くのYouTube作品があります。
本書「無意識の鍛え方」とYouTube動画を、是非ご参照いただければと思います。
個人的には、「無意識と習慣化」「創造的アウトプット」について興味があり、本書と並行して何冊かの参考書も読み返しました。私自身が体得しつつある「無意識と習慣化」フローにつきまして、「無意識」関連の参考書と併せて、別の機会にプログ記事として纏めたいと思っています。